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TW3「エンドブレイカー!」のキャラブログ。 PBW、TWと言った単語に興味のない方は回れ右推奨。
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 退屈凌ぎのお遊び。
 最初はきっと、それだけの。

 灰桃の瞳が見つめた先は、靡いた銀と。
 次いで瞬いた、空の深いところの石色。


 退屈だった。
 荒野で衰弱しきっていた所を保護され、施療院に入ったものの、寝ているだけというのは苦痛でしかなかった。
 浅い眠りは此処へ来ても癖と言う他無く、青年にとっては休息の様で違っていた。
 小さな病室、中にはベッドと小さな棚と卓、来客用の椅子が僅か。他は何も無い、質素で清潔な部屋だ。
 個室にあっては話し相手も居ない。部屋から出ようとすれば温かい叱責が待っている。
 最初の深い眠りから覚めた後は、どうしようもなく退屈だった。
 身体を動かしたくて、ふと窓を見つめた。
 扉とは反対側、風通しの良い小窓の縁で、照らされた白いカーテンが揺らめいている。
 まだ昼下がりといった時間なのだろう。日差しは傾いてもおらず、眩しい程。
 ああ、と。
 彼は身体を起こした。
 ふらつく足が鬱陶しい。
 思わず壁に突いた腕が、以前にも増して細くなっているのを改めて見て悪態を吐く。
「……太刀、何処置いたっけな」
 リハビリを兼ねた訓練をいくつか思い浮かべながら、やっとの事で窓際へ。
 そっと、半開きになっていたそれを音を立てない様に開け放すと、ふわり緑の香りがした。
 窓の外には背の高い樹が並び立ち、その向こうに平行に走る道は良く見えない程。
 両隣には同じような窓が端まで幾つも続いているのを知っている。
 確認もそこそこに、部屋の扉が開かないかどうかだけを気にして桟に手を掛けた。
 片膝を乗せると同時。
 甘い、花の香りがした。



 淡い金糸は陽に微睡み、その中で灰桃の双眸が幾度か瞬いた。
 甘みが苦手な彼にも不思議と心地よい花匂は、目の前に立っている彼女から発せられていた。
 小さな声が、綺麗、と呟く。
「何、……!」
 気を抜いた隙に滑った手が桟から落ちて、危うく窓から身を投げそうになる。
 寸でのところで踏み止まりはしたが、碌に脱走も出来ない体力に彼は口惜しそうに眉を顰め。
 間近でそれを見た彼女は暫しの沈黙の後、綻ぶ様に微笑んだ。
「あまり無茶をしてはいけないよ? ……少し、待っていて」
 緩やかな口調に顔を上げれば、其処には既に彼女の姿は無く。
 裏腹、存外早い歩調で遠ざかる金糸の残影と後姿。
 間もなく建物の角を曲がって消えたのを何となく見送ってしまってから、彼は首を傾げた。
「待ってろ、ったって。な」
 名も知らぬ女性。
 年の頃は同じくらいか、少し年上だろうか。
 柔らかそうなシフォンのスカート、緩やかに巻いた金糸の髪に飾った桃色の花。
 施療院に居る病人けが人でもなさそうな快活さで、恐らく外の道を散歩していたのではないかという所までは思い当たった。 
 疑問符を浮かべながら桟から足を下ろし、元通りに窓を少し閉める。
 一息吐いて、何故言われた通りにしてしまったのかと考えるまでの間に、こつりこつりと扉が鳴った。
 控えめなノック。
 早い。それに気配は、施療院の人間のものでもない。
 けれどある種の確信を抱いて、彼は其れを許した。
「……どうぞ」
 微かに、笑った雰囲気。
 ゆっくり開いた扉向こうにはやはり、先刻の彼女が居た。
「失礼するよ」
 大人びて、驚くほど柔らかく表情を和らげたその女性は、後ろ手に扉を閉めて歩み寄る。
 片手に提げた籠編みの鞄が合わせて揺れる。
 風と一緒に鼻腔を擽る、あの甘い香り。
「退屈なら、私と少し遊ばないかい?」
 それは思いがけぬ変化球であったかもしれない。
 彼が返したのは少し上げた眉尻と、眩暈に回った足取りだけだったから。



   [続]
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使用されているイラストは、株式会社トミーウォーカーのPBW『エンドブレイカー!』用のイラストとして、レクサスPLが作成を依頼したものです。イラストの使用権は発注者に、著作権は各イラストマスター様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。

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